「汝、星のごとく」 凪良ゆう 著
プロローグとエピローグが呼応しているパターン。
ここまで印象を覆されるのは、初めてかもしれない。
間に紡がれる物語は、ただひたすらに切ない。
誰も悪いわけではない。
〝ぼくたちはそういう悩み深い生き物だからこそ、
悩みのすべてを切り捨てられる最後の砦としての
正論が必要なんです。〟
そしてその正論すらも超えていけ。
「やりなおし世界文学」 津村記久子 著
書評本は苦手だ。
ページを開いて、書評を集めた本だったと分かると、がっかりする。
多分に、自分の読解力のなさ、文学史についての知識のなさ、作家および作品についての情報力の乏しさが原因だと分かってはいる。
それでも面白さを感じられないことには変わりがない。
大抵、既読本の書評のみ拾い読みして終わることになる。
しかし、これは違った。
津村さんの視点と語り口はやはり違う。
初めて書評で面白い、と思わされた。
読んだことのある本も。
気になっていた本も。
小難しくて苦しみながら読んだ本も。
タイトルすら知らなかった本でさえ。
なんだか共感できるのだ。
こんな読書感想文を書く学生でありたかった。
きっと教師は満足しないだろうけれど。
イチオシは、モリエールの『人間ぎらい』。
カフカの『城』の説明もいい。
それぞれのタイトルを帯にすれば、売上伸びるんじゃないかと思う。
津村さんの『アレグリアとは仕事できない』の隣に、“仕事がまったく進まない”と帯で嘆いている『城』が並んでいたら、たぶん買う。